アカデミー賞『パラサイト 半地下の家族』の監督ポン・ジュノとは?経歴や代表作を一挙紹介

ポン・ジュノ

2020年1月に公開された『パラサイト 半地下の家族』。みなさんはもう観ましたか?

カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した本作。その前評判通り、新春から大ヒットを記録して話題となっています。

貧富の差をテーマに、ブラックコメディとしても、社会派映画としても完成度が高く、その衝撃的な結末はきっと誰かに話したくなるはず。

ところで、そんな『パラサイト』でメガホンを取ったポン・ジュノ監督って、一体どんな人物なのでしょうか?

そこで今回は韓国映画界の鬼才、ポン・ジュノ監督の経歴や代表作を紹介します。過去作品の多くは動画配信サービスで扱われているので、ぜひこの機会に鑑賞してみてください。

ポン・ジュノ監督の経歴は?

ポン・ジュノは1969年に韓国の大邱市で生まれました。デザイナーで画家の父を持ち、幼い時から芸術に親しんできました。

延世大学で社会学を修めた後、韓国映画アカデミーに入学して映画制作を学びます。

在学中に制作した短編が海外の映画祭で注目を集め、卒業後の2000年には初の長編作品『吠える犬は噛まない』を発表。

さらに2003年に公開した『殺人の追憶』が大ヒットを記録します。

続く『グエムル-漢江の怪物』も国内外で高く評価され、またたく間に韓国映画を代表する監督へと躍り出ます。

さらに、2013年にはクリス・エヴァンス主演で『スノーピアサー』を公開。続くNetflix作品『オクジャ/okja』も含め、世界進出を果たすのでした。

そして2019年、『パラサイト 半地下の家族』がカンヌ国際映画祭で韓国映画初となるパルムドールを獲得したのです。

ポン・ジュノ監督は政権のブラックリストに入っていた?

ポン・ジュノ監督の作品は、そのいずれもが社会的な問題をテーマに扱っています。

そのため、過去の保守政権から左派の注意人物としてマークされていたことが、後の資料公開によって明らかにされています。

少なくとも李明博政権(2008年から2013年)と朴槿恵政権( 2013年から2017年)のもとで、ひそかにブラックリストに入れられていたようです。

ポン・ジュノ監督の代表作を紹介

ここではポン・ジュノ監督のおすすめ作品を紹介します。

『殺人の追憶』(2003年)

長編第二作となった『殺人の追憶』は、実際に起きた連続殺人事件をモチーフにしたサスペンス映画です。

韓国のアカデミー賞にあたる大鐘賞を獲得するなど、非常に高い評価を受けました。

主演はソン・ガンホ。彼はその後ポン・ジュノ作品の常連として、『パラサイト 半地下の家族』にも主演することになります。

この映画、皆さんが考えているような通り一遍のサスペンスではありません。むしろその結末にはあっけにとられてしまう人も多いはず。

これは事件を捜査する3人の刑事が、犯人を追い詰めるどころか、逆に追い詰められていく様を描いた作品なのです。

捜査が暗礁に乗り上げ、精神的に疲弊していく刑事たちが何を見せるのか? ぜひその目で確かめてみてください。

『グエムル-漢江の怪物-』(2006年)

前作から一転して、こちらはモンスター映画『グエムル-漢江の怪物』です。

物語は、漢江にあらわれた謎の怪物(韓国語でグエムル)が人々を襲うというもの。主人公のカンドゥは怪物にさらわれた愛娘を救うため、家族とともに立ち上がります。

日本の怪獣といえば『ゴジラ』が有名ですが、当時の韓国では怪獣映画というジャンル自体が珍しいものでした。

そんななか制作された『グエムル』。さぞかしB級臭がする……なんてとんでもありません。

日本映画も顔負けの仕上がりで、アジア・フィルム・アワードで最優秀作品賞を受賞するなど、国内外で注目を集めました。

怪獣のグロテスクな造形もさることながら、在韓米軍をめぐる社会問題をテーマにしたことも高評価の要因となりました。

この映画も、普通の怪獣映画を期待して観ると度肝を抜かれますよ!

『スノーピアサー』(2013年)

ついにポン・ジュノ監督も世界進出、ということで、『スノーピアサー』は韓国・アメリカ・フランスの合同で制作された作品です。

人類のほとんどが滅亡した未来を描くSF作品で、主演は『キャプテン・アメリカ』で有名なクリス・エヴァンス。

ポン・ジュノ作品の常連、ソン・ガンホも重要な役どころで出演しています。

雪と氷に覆われた世界で、生き残ったわずかな人類が乗車している列車「スノーピアサー」。この列車を舞台に、貧しい主人公たちが先頭車両で暮らす富裕層に反乱を企てる物語です。

ちなみに、『スノーピアサー』はテレビシリーズ版も制作されることになり、2020年の春から放映されます。

貧困層と富裕層の対立というこの作品のテーマは、後の『パラサイト』に通じるものがあるといえるでしょう。

かなり痛烈な皮肉が込められているので、少しでもポン・ジュノ作品に興味を抱いた人には必見です。

『オクジャ/okja』(2017年)

こちらも海外に足場を移し、韓国・アメリカの合同で制作された作品です。

劇場公開ではなく、Netflixによる独占配信という形で公開されました。カンヌ国際映画祭にも出品されましたが、惜しくもパルムドールを逃しています。

『フィクサー』のティルダ・スウィントンや『『それでも夜は明ける』のポール・ダノなどが出演しました。

『グエムル』と同じモンスター映画ですが、こちらは可愛いモンスター。韓国の山中で暮らす少女・ミジャと、遺伝子改造で生まれた大豚・オクジャとの絆を描きます。

実在する動物愛護団体が登場し、環境保護について深く考えさせられる作品。ポン・ジュノらしさは健在といえるでしょう。

最後に

いかがでしたでしょうか?

今回は『パラサイト 半地下の家族』が話題となっているポン・ジュノ監督を紹介しました。

ふつう社会派の映画というと、難解で堅苦しいイメージがありますよね。でもポン・ジュノ監督の作品は、ユーモアとウィットにあふれていて魅力的。

深いテーマと大衆性、この絶妙なバランスが多くのファンの心を掴んでいるのでしょう。

この機会に、みなさんもポン・ジュノの作品に触れてみませんか?

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